乃木坂46という巨大なグループのなかで、6期生たちがそれぞれの輪郭を見せ始めている。
そのなかでも、増田三莉音という存在は少し異質だ。
大阪府出身。2009年11月1日生まれ。2026年8月現在16歳。
2025年に乃木坂46へ加入した6期生の一人であり、オーディションでは「Seventeen賞」を受賞。
2026年3月からは『Seventeen』の専属モデルとしても活動している。整った顔立ちと156cmの小柄なスタイルは目を引く。
しかし、彼女の魅力はビジュアルだけでは捉えきれない。
本人の言葉を追っていくと、そこにはアニメや小説、映画への強い関心があり、特に太宰治の作品を愛読していることがわかる。そして、自分自身については「まだ、ほとんど分かっていない」と語る。
自分が何者なのかを最初から決めつけない。活動を続けながら、少しずつ「私らしさ」を探していく。その姿勢は、16歳という年齢とも相まって、増田三莉音というアイドルの現在地を象徴しているように見える。華やかな世界に身を置きながら、内側では自分自身について考え続けているのだ。
その静かな思索と、ステージや誌面で見せる瑞々しい表情。
二つの距離が近づいたとき、彼女の独特な魅力が浮かび上がってくる。
増田三莉音のプロフィール
- 名前:増田三莉音(ますだ みりね)
- 生年月日:2009年11月1日
- 年齢:16歳(2026年8月現在)
- 出身地:大阪府
- 血液型:O型
- 身長:156cm
- 趣味:アニメ、読書、映画
太宰治、アニメ、映画――彼女を形作る「好きなもの」
増田三莉音を語るうえで、読書は外せない。2025年10月に始まった個人ブログの初回記事で、彼女は趣味として「アニメを見ること」「小説を読むこと」「映画を見ること」を挙げ、特に太宰治の作品を「愛しています」と強い言葉で語っている。
2026年7月の『Seventeen』企画では、さらに踏み込んでこう話している。図書室の空気感が好きだったことから読書を始めたこと。心が乱れているときや怠けたくなるときこそ本を読まなければ、という気持ちになること。そして、読書を「私の内面を正して、心を整えてくれる存在」と表現していること。
ここには、単なる「文学少女」という言葉では収まりきらないものがある。本を読むことが、知識を増やす行為ではなく、自分の感情を整理し、自分自身を見つめ直す時間になっているのだ。
「自分がどんな人間なのか、まだ分からない」
増田三莉音の人物像を考えるうえで、もっとも象徴的な言葉がある。2025年10月、個人ブログに移行した際、彼女はこう綴った。
「自分がどんな人間なのか、正直まだ、ほとんど分かっていません」
普通なら自己紹介は「自分はこういう人間です」と輪郭を示すためのものだ。しかし増田は逆の方向へ進む。まだ自分自身が分からないから、一緒に探してほしい――と。
16歳という年齢だからこその未完成さがある。けれどそれは弱さではない。自分を分かったつもりにならず、変化していく余白をそのまま残している姿勢だ。
「自分を変えたい」から始まった道
増田が乃木坂46を目指したきっかけも、この「未完成さ」とつながっている。『Seventeen』のインタビューで、彼女は「自分を変えたい」という一心だったと答えている。完成された自己像を持ってアイドルになったのではなく、自分を変えるためにこの場所へ飛び込んだのだ。
2026年4月の公式ブログでは、高校2年生になったことを報告しながら、「人見知り解消」という目標を掲げてきたものの、いまだに人見知りは続いていると率直に認めている。それでも「強く新しくなるであろう自分を信じてみたくなっています」と前向きな言葉を残す。
「変わった」と簡単に言い切らないこと。変わりたいと思い、努力し、それでもまだ変わりきれない自分を認めながら、また新しい自分を信じてみる。その繰り返しこそが、今の増田三莉音なのだろう。
人見知りと、ファンとの距離
増田は自分の「人見知り」を隠さない。一方で、ファンとの交流については温かな言葉を残している。初めてのミート&グリートでは緊張したものの、ファンが優しく接してくれたこと、「三莉音ちゃんのおかげで毎日頑張れてるよ」と言ってもらえたことが嬉しかったと語る。
幸せを感じる瞬間は「応援してくださるかたの笑顔を間近で見る瞬間」だと答えている。
人見知りであることと、人との関係を大切にすることは両立する。緊張しながらも一人ひとりとの交流を大切にするからこそ、独特の温度が生まれるのかもしれない。
『Seventeen』というもう一つの舞台
2026年3月から、増田は『Seventeen』専属モデルとしても活動を始めた。2025年のオーディションで「Seventeen賞」を受賞した縁からだ。
専属モデル決定時、彼女は「自分なんて」と思わずに「成長してみせる」という思いを語っている。ここでも「自分を変えたい」という最初の動機と一本につながっている。
『Seventeen』では読書やアニメについても本人の言葉が紹介され、特に2026年7月の記事では、太宰治作品を読む理由が「心を整える」ことと結びついていることが強調された。
アイドル活動とモデル活動の両方で、彼女の「好きなもの」がそのまま表現の一部になっている。
「文学少女」という言葉だけでは足りない
『Seventeen』は増田を「素直で愉快な文学少女」と紹介している。確かにその一面はある。
しかし、文学だけを好むわけではない。アニメも漫画も映画も見る。作品に感情移入し、観たあともしばらく引きずる。特定のジャンルに自分を閉じ込めるのではなく、物語そのものに強く反応する人なのではないか。
その感受性が、アイドルとしての表情やモデルとしての写真にどうつながっていくのか。そこはこれから注目すべき部分だ。
活動休止という現在地
2026年4月28日、乃木坂46公式サイトは、体調不良が続いていることから、増田が当面の間、乃木坂46としての活動を休止し、回復を優先すると発表した。以降、複数のライブやミート&グリートを欠席している。
ここで、本人の体調や内面について外部から推測することは避けるべきだ。公式に発表されているのは「体調不良が続いている」という事実と、「回復を優先する」ということまでである。
それでも興味深いのは、乃木坂46としての活動を休止した後も、『Seventeen』のモデルとして紹介され続けていることだ。2026年7月にも、読書について本人が語る記事が掲載されている。
ステージから少し距離を置いている現在だからこそ、こうした本人の言葉はより印象的に響く。
結びにかえて
増田三莉音は、まだ16歳だ。乃木坂46に加入してからの時間も、決して長くはない。それでも、その短い時間のなかで、彼女はすでにいくつもの顔を見せてきた。
乃木坂46の6期生であり、『Seventeen』専属モデルであり、太宰治を愛する読書家であり、アニメや映画を楽しむ少女であり、自分自身について「まだよく分からない」と語る16歳である。
一見するとばらばらに見える。けれど、その中心には一つの共通点がある。自分の感情を、自分の言葉で確かめようとしていることだ。
「自分を変えたい」と思って乃木坂46の扉を開いた。活動を始めても、人見知りは簡単には消えない。それでも、新しい自分を信じてみようと思う。
本を読み、物語に感情移入し、そこから何かを受け取る。そして、その経験を言葉にして誰かへ届ける。
増田三莉音の魅力は、完成された「キャラクター」にあるのではない。変わっていく途中にいること。まだ自分でも知らない自分を探していること。その未完成さそのものが、彼女の現在を特別なものにしている。
だから、彼女を「文学少女」という一言だけで終わらせるのも、「次世代のエース」と先回りして決めつけるのも、まだ早い。
青と白を好きな色として挙げる少女が、これからどんな色を自分のものにしていくのか。太宰治の言葉や、アニメや映画の物語から受け取ったものが、いつか彼女自身の表現としてどんな形になるのか。
その答えは、まだ見えていない。
けれど、見えていないからこそ、追いかける価値がある。
静かに思索しながら、自分自身を探し続ける。増田三莉音という16歳の物語は、まだその途中にある。


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